私が手に入れた夢のオープンカー、フィアット500C(FIAT500C)。御存じ個性的なルックスを持つチンクエチェント、機能面でもなかなか個性的。以前もご紹介した「あえて使わない装備」がまだまだあるのです・・・。
ヒルホールドコントロール
私とチンクエチェントが暮らす母なる惑星「地球」。この惑星において上り坂では後方へ重力が働きます。上り坂にクルマを停止した状態から発進する際、ドライバーは右足をブレーキペダルからアクセルペダルへ踏み換えます。この踏み替えの間は重力に逆らえないため、何か対策を打たない限りクルマは後方へ下がってしまいます。この対策として最近のクルマが装備しているのが「ヒルホールドシステム」等で呼ばれる機能で、クルマ側の制御により一時的にブレーキング状態を維持してくれますね。
そしてチンクエチェントにもこの機能が「ヒルホールドコントロール」の名称で装備されているものの、私は以前の投稿で「一度も作動を経験した事がない」とご報告していました。
ところが、なんと先日、初めて「ヒルホールドコントロール」を体験したのです!
場所は立体交差。2つの道路の内ひとつが地下に潜るタイプです。地下へ向かって立体交差へ侵入した私と愛車は坂を下りきった後、上り勾配に入ったその途中で信号待ちの隊列の最後尾に停車したのでした。
この時、脳裏にふとよぎったのです。
「ココでブレーキから足を離したらヒルホールド作動するかしら・・・?」
チンクエチェントのヒルホールドコントロール機能は作動する傾斜は「5%以上の勾配」。とはいえチンクエチェントに乗り始めてから何度も上り勾配での後ずさりを経験した私は「ヒルホールドコントロールなんて実は作動しないのでは?」と、その機能に一切期待をせず、左足ブレーキからの坂道発進方式を常用してまいりました。
しかしこの時は私が最後尾で後方から近づく後続車もなく、例え後方に下がってしまっても誰にも迷惑をかけない状況。「ヒルホールドコントロール、出てこいや!」と試すには大チャンスです。「今だ!」とばかりに思い切ってブレーキペダルから足を離したのでした。すると・・・
「おおおっ!止まってる!下がらないぞっ!!」
そうです、ヒルホールドコントロール機能が見事に作動しました!初めてお会いできましたよ!数秒の後に機能が解除され後方へ下がり出しましたが、コレは仕様通りのふるまいで問題ありません。
「何だよ!ちゃんと動くじゃんよ!」
私は感動すら覚えたのでした。
冷静に状況を観察すると、現場の上り坂にはそれなりの傾斜があり、おそらくトルコンAT車でもクリープ現象だけでは後退を防げないのではないかと思われるレベル。つまり「必要なレベルの勾配であればヒルホールドコントロール機能が働いている」ということ。
今まで私が後ろに下がって困っていた上り坂のうち「緩い勾配」は「トルコンATではクリープ現象でしのげるレベルだがチンクエチェントはデュアロジックだから後ろへ下がった」という単純な事だったわけです。
とはいえ、もしもヒルホールドコントロールが作動しなかった場合に、トルコンAT車では「じゅわぁ」と下がり始めるところが、デュアロジックでは「スっ」とためらいなく下がる。このコワさは無視できません。勾配ごとにヒルホールドコントロール機能が作動するのかしないのかを見極めるのは難しいこともあり、私は少なくとも後続車がいるシーンでは引き続き「左足ブレーキによる坂道発進」を続けることでしょう。
結局のところ、今後もヒルホールドコントロール機能を使う事はないでしょう。納得いくようないかないような、何ともいえない話ではありますが、今回は少なくとも「ヒルホールドコントロールは実在した!」という事実が確認できただけでニンマリしてしまったのでした。「左足ブレーキによる坂道発進」も、運転として楽しいですし、満足です!(笑)
ドアミラー格納(しかも手動)
私のチンクエチェントは2020年式、グレードはツインエアラウンジでエアコンはフルオート、メーターはフル液晶など装備は充実しています。しかしながらドアミラーの格納は電動ではありません。手動です。
今どきの国産車は当たり前のように装備している電動格納ミラー。車種によってはドアロックと連動して自動的に作動するほどで、駐車場にクルマを停める際はミラーを折りたたむことでクルマの側方スペースを少しでも広く確保できます。近年、フルモデルチェンジの度に車幅が拡大しているクルマに対し、道路や駐車場の大きさがついて行けてない状況ですから、ドアミラー格納機能はますます手放せない装備でしょう。
そんな電動格納ミラーが何故チンクエチェントには装備されていないのか?その理由は一般ユーザーである私が知る由もありません。ただ私が言えることが一つだけあります。
「チンクエチェントではドアミラー格納の必要性を感じない」
そもそもドアミラー格納機能は何かと狭い日本の駐車場事情への対策として生まれたモノらしく、輸入車のドアミラー格納機能装備については生産母国で求められたのではなく販売仕向け先へのローカライズ的な理由で装備されたのが始まりみたいですよ。
さて、チンクエチェントはイタリア車。その上ひときわコンパクトなサイズからして母国でのドアミラー格納機能へのニーズが高いとは思えません。では日本ではどうか?いわゆる5ナンバー枠いっぱいの「1,695㎜」が日本国内では乗りやすい最適なサイズと言われていますが、チンクエチェントは更にコンパクトで車幅はわずか「1,625㎜」。軽自動車には及ばすとも充分に扱いやすいサイズと言えるでしょう。どこに出かけても駐車場のスペースに神経をすり減らすことはありません。クルマの横に充分なスペースが残せますからドアミラーを格納する必要がないのです。
ちなみに、ご自宅の駐車場が手狭だったり特別な事情によりドアミラーを格納しなければいけないケースもあるかもしれません。そんな時も大丈夫です。電動で車内からラクラクにーとはいきませんが、手動であれば格納できます。ドアミラーを車体側へ「グイっ」と押し込めば「パキっ」と格納できます。若干「壊れないかしら」との不安を抱かせるような感触がありますが(個人的な感想)、いざという時も安心ですね。
以上、私が「あるのに使っていない装備」として、ヒルホールドコントロールとドアミラー格納をご紹介しました。
その個性的なキャラクターと相まって、装備を使わないことですら楽しい気持ちにさせてくれる。「チンクエチェントならでは」だと思いますよ。ホントに愛すべきクルマですね!