私がフィアット500C(FIAT500C)の購入に至った決め手の一つが「デュアロジック」のフィーリングでした。非常にクセが強いことで知られるデュアロジックと私の付き合い方とは?
極低速は苦手
改めて「デュアロジックとは何ぞや?」。いわゆる「ミッション」の形式に対するフィアット社の固有名詞です。中身はシングルクラッチの5段変速トランスミッションで、変速タイミングとクラッチ操作を自動化したもの。
基本的には一般的なオートマ車と同様に変速全てをクルマ任せにできるので免許もAT限定でO.K.。一方で、その成り立ち故にエンジンとのダイレクト感と変速時のフィーリングはマニュアルトランスミッション車そのものです。シフトアップ時にクラッチが切れた時の一瞬力が抜ける所(頭が前に持っていかれる)は、必ずしも運転者のタイミングとシンクロしないので、ある程度「慣れ」が必要だと思います。
さて、そんなデュアロジックがぎこち無い挙動を見せるのが極低速域。例えば渋滞にはまった時は「止まるか止まらないか」くらいのスピードから「流れ始めそうで流れない」くらいのスピードの間で走行することがあります。マニュアルトランスミッションであれば半クラッチなどを駆使して繊細なコントロールをするところ、デュアロジックではクラッチ制御が難しいのか「ガックンガックン」します。イメージ的にはマニュアル免許取り立ての初心者に近いですかね(注:個人差があります)。
では耐えられないほど不快かというとそんな事はなく、免許取り立ての初心者への愛情と同じく、フィアット500が持つ個性の一つと思えば充分に付き合っていける範囲だと思います。
坂道発進は左足使う
最近のクルマは坂道発進を補助する「ヒルスタートアシスト機能」が普及してきましたね。坂道で停止状態ブレーキから足を離しても一定時間ブレーキを維持してくれる為、右足をブレーキからアクセルへ移す間に後ろへズリっと下がることを防いでくれる。更にオートマ車はクリープが効くので、坂道の傾斜を意識する機会は多いに減ったと言えるでしょう。
フィアット500には「ヒルホールドシステム」なる機能が装備されています。取扱説明書によると「5%以上の勾配で作動」、「2秒間ブレーキを維持」とのことです。デュアロジックはクリープが発生しないので、坂道発進のサポートとしてありがたい機能のハズなのですが、コレが・・・私の運転では一度も作動したことがないです(笑)。
私の日常では急な坂道での発進機会はあまり無く、踏切等の大きめのコブ傾斜や緩い坂道がほとんどです。これらの場所でブレーキを離すと、私の愛車は何のためらいもなくスルっと下がり始めます。「5%の勾配」がどの程度の傾斜なのか、肌感覚を持ち合わせていないので見極められませんが、とにかく私が運転する環境下の「坂」では普通に下がるのです。
いろいろ試してみたい気持ちもありつつ、その都度後続車のドライバーを脅かす事にも成りかねないので、結果的に予防措置として坂道発進対策が必須になるのです。幸い、デュアロジックはクラッチ操作が不要なので左足がヒマです。私はバンドブレーキではなく左足でフットブレーキを踏み、右足のアクセル操作と合わせて坂道発進を行うようにしています。
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そもそも電動でもないフィアット500Cのブレーキを繊細なセンシングで制御できるものなのかしら?と思っちゃいますね。どんな仕組みなんでしょうか?ご存知の方、教えてください!
マニュアルモードがサイコー
とにもかくにも個性爆発のデュアロジックですが、多少のクセも気にならなくなる魅力があります。それは、さきほども触れた「マニュアルモード」での運転です。
デュアロジックの「オートマチックモード」は自動でシフトチェンジしてくれるのでラクチンですが、特に発進から3速くらいまでの変速ではエンジンからの動力が切れる間合いが長く減速感が強く出てしまい、頭が前後に揺れる幅が大きくなります。そこで、自分の意思で変速できる「マニュアルモード」を使うことで、自ら判断した変速タイミングで意図的にアクセルを“緩める“ことで、変速時のショックも和らげることができるわけです。
さらに、小気味よく回るツインエアエンジンを自在に引っ張りながらドライビングを楽しめます。エンジンパワーはさほどでもありませんから、街中のちょっとした直線でも充分にワクワクを感じることができます。クラッチ操作をサボりながらもギアとエンジンのダイレクト感を味わえる、この楽しさは何者にも代えがたい魅力です。結果的に、今では「基本的にマニュアルモード」で運転してます。
以上、デュアロジックについてご報告でした。
正直、クセの強さにダメな人はダメかもしれません。トルコンATがなじむ人から見れば乗りにくいし、マニュアルに慣れた人からは物足りないかもしれません。
では私にはどうか?
“病みつき“です!
適度にサボれて適度に楽しめる!サイコーですよ!